若い妻、そして幼い息子と暮らす青年マーフィーが、かつての恋人エレクトラの母からの電話をきっかけに、彼女との2年に渡る蜜月を振り返る物語。その回想は心を引き裂かれんばかりのエレクトラとの別れから始まり、彼女とともに過ごした愛のエピソードが、時計の針を巻き戻すように描かれる。かつて人生のすべてだと思っていた女。情熱、性欲、嫉妬・・・様々な感情に振り回され、ぶつかり合い、愛し合った彼女との時間。その回想がやがて彼らの初めての出会い、初めてのキス、初めての夜に立ち戻ったとき、男は喪失を抱えて人生を歩んでゆくほかない———。


監督は、作品を発表するたびにセンセーションを巻き起こす鬼才、ギャスパー・ノエ。『カルネ』でカンヌ国際映画祭の批評家週間賞を受賞し鮮烈に登場、続く『カノン』で絶対的なタブーを描き出した。第55回カンヌ国際映画祭正式招待作品となったモニカ・ベルッチ主演『アレックス』では衝撃的なレイプシーンが物議をよび、東京で撮影された『エンター・ザ・ボイド』ではドラッグにまみれたTOKYOを彷徨う魂を描いた。暴力的で孤独な世界の中から、闇にまぎれることのない愛や人間たちを掬いあげてきたギャスパー・ノエ自身が、「私のこれまでの映画とは違う、私のすべての映画の中で、その存在をもっとも近く感じられる、そして最もメランコリックな映画だ」と語る。性と愛をわけるのではない、セックスも感情もすべてを包括する“LOVE”を描くのが本作『LOVE【3D】』だ。
前作『エンター・ザ・ボイド』公開前のインタビュー時には次回作の構想に「3Dポルノをやるかも」と答えていたギャスパー。3Dを使ったことで、登場人物と観客の距離はより縮まり、スクリーンで展開される彼らのエモーションがよりリアルに迫ってくる。そして、映画史上、予想もしなかったモノが飛び出してくる———。

2015年カンヌ国際映画祭でのプレミア上映の際は、噂が噂を呼び、ミッドナイト・スクリーニングにも拘わらず世界中のプレス、観客が押し寄せチケットシステムがパンクするほどの熱狂となった。この冒険的な試みに挑んだ俳優たちが、カール・グルスマン、アオミ・ムヨック、クララ・クリスティンという新星たち。アメリカ人のカールは、人生の大失恋をいやすため訪れたパリでギャスパーの友人と出会い、その半年後に本作の出演が決まった。エレクトラを演じたアオミは、カクテルパーティーで俳優の元恋人がギャスパーと引き合わせたが、元々女優志望ですらなかったという。本作出演を機に彼らは注目を集め、カールは多数の出演映画の待機作がある人気俳優となり、クララはサンローランの2016年クルーズコレクションのキャンペーンモデルに抜擢されている。 彼らとの仕事にギャスパーは、「このような成果を得られたのは、これまでの私の作品以上に、俳優たち―アオミ、クララ、カールの勇気と信頼のおかげだ。彼らは三人の主役を演じることに喜んで同意してくれた。彼らの関与、才能、カリスマのおかげで、この映画は私が望んでいた100倍も良くなった。」と絶賛を送った。

サウンドトラックについても、ピンク・フロイド、ジョン・フルシアンテ、ギャスパー自身が大好きだと語るブライアン・イーノらのほか、映画『ジョン・カーペンターの要塞警察』『ルシファー・ライジング』、『サスぺリアPART2』のサウンドトラックなどが使用され、見るものの感情を揺さぶる重要なファクターとなっている。

一月一日、早朝。電話が鳴る。マーフィーは目覚める。傍には若い妻オミと二歳の息子ギャスパー。
彼は留守番電話を聞く。エレクトラの母だ。心労で声がやつれ、娘から連絡はなかったか知りたがっている。
エレクトラはずっと行方不明なのだ。母は、娘に何かあったのではないかと心配している。
いつまでも雨のやまない一日、マーフィーはアパートにいて、彼の生涯最大の愛を思い返す。エレクトラとの二年間を。
いつまでも続くはずだった、駆け引きに満ち、時に行き過ぎた、過ちだらけの、焼けつくような情熱の日々を…。


これは青年マーフィーがかつての恋人エレクトラとの2年にわたる蜜月を振り返るスタイルを取りながら 愛しあう若いカップルの情熱を、肉体的に精神的に完全に再現する映画であり、愛と性を分けて考えるのではなく、すべてを包容する【LOVE】を3Dで描いた究極の物語。